玄関清掃についてのお話は、今回が3回目。まずはここまで説明した中で、見落としがちな清掃ポイントを挙げておきたいと思います。
玄関の自動ドアには、1枚のドアが片側に開く『片引』、2枚のドアが左右に開く『両引』など、いくつかのタイプがあります。いずれも『ガイドレール』と呼ばれる溝に砂ボコリが溜まりやすいので、必ず掃除機をかけるようにしてください。自動ドアが開いた時に重なる、固定された建具(フィックス)側の溝は、特に見落としが多いので忘れずに。また、自動ドアが閉まっている時、固定された建具の端と2枚に重なっている部分は、汚れが非常に目立ちます。ここもしっかり拭いておきましょう。
シャッターが付いている場合は、定期的にホコリやクモの巣を取ってください。シャッターが上がると、レールの部分まですべて見えてしまいますので、注意しましょう。
次に玄関ロビーです。受付台の上はみなさんきちんと拭いても、横の部分は忘れがち。きちんと拭いてくださいね。また、ロビーに置かれた椅子やソファは脚、側面まですべて拭きましょう。床に近く、低い部分はどうしても注意が行き届かないため、拭き洩らして先が汚れたままになっていることがよくあります。
床を洗ったあとは、幅木より上まで壁を拭いておきましょう。水や洗剤などが飛び散って、長時間そのままにすると取れなくなってしまいます。玄関の建材は特別な素材を使っていることが多いので、他の場所以上に気を配ってください。
さて、ここから先は、季節による玄関清掃の注意です。 夏になると、虫やクモの巣が出てきます。玄関の風除室の中、自動ドアの外側の上部など、隅の部分にクモの巣や虫が多く付きます。早めに除去しないと、金属部分が腐食しやすくなるので注意しましょう。階段の裏側、玄関の照明も、クモが巣を張りやすい場所です。特に雨が続くとクモが増えますので、注意しましょう。また、玄関の外にある照明のカバー内部には、確実に虫が入っています。美観を損なってしまいますので、こまめに除去するようにしてください。
外気と室内の温度差が大きい季節には、玄関の結露も多くなります。よく巡回清掃をし、気づいたらその都度拭き取りましょう。早め早めに対処しないと、結露したところだけカビが生えてしまいます。
雨が降ると、建物周辺の植木などから落ちた葉が、地面に張り付いています。マメに拾い掃きしましょう。その際、作業に気を取られて車に気付くのが遅れないよう、注意してください。特に視界の悪い日、暗くなってからの時間帯はできれば反射ベルトを付けて作業するといいでしょう。
夏場、屋外で清掃作業をする時は、事前に虫よけスプレーや虫刺されの薬を準備しておきましょう。私も経験がありますが、排水口から出てくるヤブ蚊に、洋服の上からでも刺されてしまいます。特にヤブ蚊の多い場所では、顔の周りを守るため、ハチ用の頭部防護ネットを使うといいと思います。こうした虫対策用品は、会社が準備するべきものです。上長さんに相談してみてください。
新津春子略歴 1970年、中国・瀋陽生まれ。日本空港テクノ株式会社社員。「環境マイスター」として羽田空港で活躍。2018年よりハウスクリーニング「思う心」を率いる。20年7月、YouTube『新津春子の優しいお掃除チャンネル』を開設。 |