昨今のトイレは、驚くほど様変わりしています。個室内のチェンジング・ボードだけでなく、チェンジング・スペース(着替え室)が別個にできています。また、化粧スペースに加え、ソファやテーブルを置いた休憩スペースまで設けているところも増えてきました。 チェンジング・ルームのカーテンは、レールの部分まで全部チェックし、ホコリが付いていたら早めに取るようにしてください。カーテンの汚れは、すぐ責任者に報告しましょう。 塩化ビニルなど合成皮革が張られた椅子やソファは、表面に付いたホコリや汚れを拭き取ります。これは洗面台と同じ道具でいいと思います。椅子の足の部分、壁際に置いてあるソファの裏側(壁に接した部分)も、定期的にホコリを除去してください。布張りのソファにシミや汚れが付いている場合は、責任者に報告することをお忘れなく。
トイレの大型化や多様化は、利用者にとっては利便性が増して、いいことだと思います。ただ、そこを清掃する私たちには、清掃道具の使い分けや、道具自体が追いついていないなどの問題が生じています。 例えば1カ所のトイレの中にフローリング、石材、P(ビニル床)タイル、カーペットと4つの床材が使われていることがあります。そうなると、これまで石材やPタイル1種類の時はダスターをかけるだけでしたが、今は床材の種類によって清掃用具を変えなければいけません。 羽田空港では、各トイレ内に清掃用流しや収納スペースがなく、必要な用具をすべてカートに乗せて移動していますので、清掃用具が増えることは清掃担当者の負担を増やすことになります。 一般的なトイレ清掃で掃除機を使う場合、従来はハンディタイプのもので十分でした。しかし、トイレ内に敷かれたカーペットは、ハンディよりもさらにパワーのあるものでないとキレイになりません。そういったパワーを備えた掃除機がなく、清掃担当者は皆困っています。現状では、できる限り現場でその設備に合った清掃方法を考え、道具を工夫しながら対処していくしかありません。 忙しくトイレを清掃している時にやりがちなのは、自分優先で仕事をドンドン進めてしまい、お客様が入ってきても目に入らないこと。あるいは一生懸命、夢中で仕事をし過ぎて、お客様の存在を忘れてしまうこと。手元で作業を行いながら、必ずお客様の流れを見て、・お客様第一・で仕事をしましょう。 羽田空港の例でいうと、お客様が入ってきたら、まずは「どうぞ」と声を掛け、笑顔でお辞儀をすることがルールになっています。小便器を清掃している時にお客様が入ってきたら、作業の途中であっても大便器や洗面台の方に移るよう、工夫しましょう。 混んでいる時も扉を閉め切って作業するのではなく、トイレの入り口に「清掃中」の看板を1個、自分が作業しているスペースのブースの入り口にもう1個置いて作業するといいと思います。これにより、お客様が清掃中の濡れた床で転んでケガをするなどの事故を防ぎ、安全に作業することができます。
新津春子略歴 1970年、中国・瀋陽生まれ。日本空港テクノ株式会社社員。「環境マイスター」として羽田空港で活躍。2018年よりハウスクリーニング「思う心」を率いる。20年7月、YouTube『新津春子の優しいお掃除チャンネル』を開設。 |