前回に続き、トイレが設置された場所別に清掃ポイントを説明していきたいと思います。
飲食店などのお店の中にあるトイレは、そのお店の顔でもあります。特に飲食店の場合、お客様はおいしいご飯を食べに来ている方々。トイレを清掃する時は、特に気持ちを込めて隅々まで清掃しないとなりません。特に、通常は見えないところも清掃しましょう。そうしないと時間が経つにつれ臭いが出てきて、せっかくのおいしい食事が台なしになり、お客様に来ていただけなくなります。清掃員もそこまで考えて、日々の清掃に努めるべきだと思います。
お酒を出すお店では、お客様の嘔吐物などでトイレが汚れることもよくあります。そういった場合は迅速に清掃し、必ず入念に消毒してください。その際も、嫌な顔は絶対に見せないよう心がけましょう。できれば嘔吐物袋をトイレ内に置いておいてもいいかもしれないですね。
トイレは「お店の顔」ですから、花など何か少し飾っておくと、お客様の気分も安まります。あるいは“今日のひと言”メッセージを書いておくのも素敵ですね。そういったメッセージは、できれば毎日変えていくといいと思います。
次に映画館、パチンコ屋さんなどの娯楽施設です。こういった場所には、本当にいろいろなお客様がいらっしゃいます。一例として、お客様がギャンブルをしている場所での清掃作業について書きたいと思います。 中には一つのことに夢中になるあまり、我を忘れてしまうお客様が見られます。そこで作業する時は、なるべくお客様を怒らせないよう、お客様の前で長時間作業をしないようにしましょう。そして常に笑顔を絶やさず、平常心で仕事をするように努めてください。
というのも、勝負ごとに熱中しているお客様の中には、調子の良し悪しによって、トイレでの振る舞いや私たち清掃員への態度が大きく変わる方がいらっしゃるからです。 調子がいい時はお客様の方から上機嫌で話しかけてくださるのに、調子が悪くなると、ご自分の怒りをトイレで発散させてしまうのです。そういうお客様を見かけても、声を掛けないようにします。そしてイライラせず、「お気の毒な方。私があとで片づけましょう」くらいに思って、仕事へのモチベーションを保ちましょう。そうして長く仕事を続けていけば、その方たちもきっと私たちの仕事を理解してくださいます。それまでは辛抱、辛抱、です。
公園など屋外のトイレは、クモの巣が多いので、しっかり除去しましょう。床のトラップ(排水口)は、中の水がなくなったり、古くなったりすると臭いが上がってきます。必ず水を流すようにしてください。その時、トイレットペーパーを濡らさないよう、気を付けてください。また、こういった屋外のトイレを一人で作業する時は、危険が伴っていることを忘れずに。作業に入る前、必ず外部の誰かに「これから何時から何時まで作業に入ります」と表示して、知らせておきましょう。いざという時、自分を守るための対策を、常に考えておくことが必要です。
新津春子略歴 1970年、中国・瀋陽生まれ。日本空港テクノ株式会社社員。「環境マイスター」として羽田空港で活躍。2018年よりハウスクリーニング「思う心」を率いる。20年7月、YouTube『新津春子の優しいお掃除チャンネル』を開設。 |