#8 トイレの壁は下を日常清掃、上を定期清掃で


 便器、洗面台などの衛生陶器類は、これまで説明したように手鏡、竹ベラなどの小物を使い、日常清掃で隅々まできれいにしておきます。その上で、使用状況や汚れの蓄積具合を見ながら、定期清掃で随時手入れをしていきましょう。
 個室も含めたトイレの床については、日常清掃で掃き作業、水拭きをしていきます。トイレの床には、ハンディ掃除機を使うと清掃しやすく、便利です。ただし衛生上の観点から、そのハンディ掃除機はトイレ清掃専用にしてください。
 水拭きをしたら、最後に必ず乾拭き仕上げをしてください。その時、小便器の前を拭いたモップで他の部分を拭かないこと。常に小便器の前は作業の最後に拭くようにしてください。そうでないと、尿が他の場所に広がってしまいます。 日常清掃で手を入れにくいところは、定期清掃できれいにします。トイレの隅や便器の後ろ、そのほか角になっているところは一番汚れやすいので、しっかり確認しながら汚れを落とすようにしましょう。
 床にワックスを塗る時は、幅木や便器にぶつからないよう、気を付けてください。またワックスは、便器の後ろには塗らないようにしてください。
 トイレの床は、特に臭いの発生しやすい場所です。床面にトラップがついたタイプの場合は、トラップの詰まりを解消してから水を入れてください。入れる水の量の目安は、1回1000㏄程度です。 トイレの壁は上下に分け、上は定期清掃、下は日常清掃の範囲としています。下の部分は臭いが発生しやすいので、毎日必ず拭きましょう。扉がある場合は、利用者が手で触る部分を日常清掃でこまめに拭いておきます。扉の上部にはホコリが付きやすいので、汚れをチェックし、必要に応じて清掃を行ってください。
 電気スイッチも、非常に汚れの付きやすいところです。スイッチ周りまで汚れているので、スイッチだけでなく、やや広範囲に水拭きをしてください。ただし、壁が“水性壁”の場合、水拭きは厳禁です。乾拭きでホコリを取るようにすること。 天井、給排気口、照明の除塵は、前にも書いた通り定期清掃の範囲です。ホコリを取る時は上から下に、を忘れずに作業してくださいね。 最近はトイレのデザインも多種多様になってきました。例えば洗面台では、鏡の後ろに照明が付いているタイプがあります。この照明部分はホコリが付きやすいので、こまめに鏡の後ろをチェックして、ホコリを取るようにしてください。 照明が切れるなどの不具合が生じた場合は、すぐ管理者に報告しましょう。こういった“報告”の必要性については、改めてお話します。 同じく洗面台で、大型の鏡が付いている場合もあります。こういった洗面台の高所は、脚立を使わずポールなどを使って清掃しましょう。 ポールを使いながら後ろに下がる際は、くれぐれも背後に気を付けてください。お客様がいらっしゃる時は、なるべく使わないようにした方がいいでしょう。